Introduction
消化器内科学教室 ご挨拶


 京都府立医科大学消化器内科学の起源は “胃腸科” として開講した1919年(大正8年)に遡ります。1958年(昭和33年)には故増田正典先生が第4代教授に就任、第三内科学教室と改名され多くの人材を輩出しました。2004年第6代教授の岡上武先生の時代に内科臓器別編成が行われ、“消化器病態制御学(消化器内科学)”となりました。2013年に私が第8代教授として本教室を担当するようになり、2019年には教室開講100周年を祝うことができました。2022年、私が教室を担当し早くも10年目を迎えています。その間、消化器内科分野の診療は大きな変貌を遂げました。Commonな消化器疾患の診療の多くは各分野のエキスパートが選択した良質な論文から導かれた“evidence”に基づき整理されてきました。学会が中心となり様々な診療ガイドラインが整備され、消化器病治療の均てん化が行われています。毎年、疾患の病態発生・進展機序にもとづいた新規薬物が次々と臨床の現場に登場し、新規の診療機器も含めて日進月歩の状況が続いています。
 教室のvisionとしては、各分野(消化管、肝蔵、胆膵)における最先端の医療を実践し、学部学生から研修医や専攻医に至るまで、豊かな人間性を備えた若手の良医を育てあげ、実社会におけるレベルの高い医療の構築に貢献することを第一にあげます。また、常にclinical questionを意識し、新しい医学的な知見を探究し発信する人材育成を第二にあげます。各教室員の個性を尊重し、最も得意とする能力を最大限に引き出すことが、教室員個人の発展のみならず教室全体の効率良い運営に繋がると考えています。教室スタッフは若手医師が消化器領域の専門医をスムーズに取得できるよう、専門知識の蓄積や診療手技の向上に繋がる指導を行います。また、日常診療での助言のみならず専門分野の講演会・(ハンズオン)セミナーを企画しています。さらに、研究面においては、疫学や統計学にもとづく臨床データの解析や新規の分子生物学的手法を駆使した細胞・動物レベルでの実験を指導し、独創性の高い研究成果が得られるようサポートしています。臨床に忙しい若手医師にとって研究活動は楽しい事ばかりではありませんが、専攻医には大学でしか味わえない新しい自由な“知的活動”を実践できる場としての大学院進学を推奨しています。
 肝臓分野では非代償期の肝硬変に対する抗ウイルス治療が実施され、個人に適した肝硬変の栄養・薬物療法や肝がん薬物療法は確実に患者予後を改善しています。非アルコール性脂肪性肝疾患は教室の重要な研究テーマで、代謝の中枢臓器である肝蔵の研究には内科全体を俯瞰する視点が必要で、臨床試験の早急な推進とともに発症機序の忍耐強い解析が求められています。また、肝内胆管癌へのがんゲノム医療の応用など話題に事欠きません。消化管分野では急速に進展した診療機器の習熟が重要で、内視鏡治療を重点的に強化しています。炎症シグナルへの治療介入は炎症性腸疾患の治療成績を格段に改善しており、腸内細菌を擁する免疫臓器としての消化管の解析や神経消化器病分野の開拓はホットな課題と考えています。胆膵分野では超音波内視鏡を応用した診断・治療手技とスパイグラスデジタル内視鏡の手技を重要視しています。消化器疾患の中で最も予後不良な胆膵分野のがんゲノム医療にも積極的に取り組んでいます。今後の当科の方針として、肝蔵や消化管を起点とした全身臓器との臓器相関ネットワークに関する研究を推進することや臓器横断的ながんゲノム医療に熱意のある医師を数多く養成することを掲げています。現在、消化器内科医が取り組むべき課題は膨大であり、多くの若手医師に仲間に加わっていただくよう尽力する所存です。

2022年5月23日
京都府立医科大学・消化器内科学教室
教授 伊藤 義人

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