Research group
肝臓研究班/慢性肝疾患の病態解明の基礎研究

我々は、慢性肝疾患の病態進展に関わる機序の解明のため、肝臓や肝臓への影響が大きいと考えられる臓器の細胞機能に着目し、研究を行っております。マウスモデルや臨床検体を用いた分子生物学、細胞生理学等の先端的な研究手法を組み合わせ、機序の解明から新たな診断法や治療法への橋渡しを目標とし、難病で苦しむ患者様へ最新の研究成果を還元できるよう精進しております。

1)肝細胞機能からみた慢性肝不全の病態解明と新規治療の開発


1:慢性肝不全ラットモデルでの代謝関連遺伝子の低下

肝硬変の進行による慢性肝不全の状態では、肝臓に含まれる肝細胞が減少しているだけでなく個々の肝細胞の機能も低下しております。どのような原因で機能低下が生じているのかを明らかにするため、肝不全の動物モデルや臨床症例から分離した肝細胞を用いて、分子生物学的手法を用いた遺伝子発現プロファイルによる解析により、遺伝子治療や小分子化合物での新しい治療法の開発を目指しております。

2:HNF4a導入による慢性肝不全の治療


3:ヒト肝細胞の分離解析

2)エネルギー代謝からみた脂肪肝の進展における脂肪幹細胞機能の役割


1:加齢に伴う脂肪肝の進展と皮下脂肪の褐色脂肪化能の低下

脂肪肝の進展には肥満病態が深く関わっており、脂肪組織と肝臓の相互作用の観点から、脂肪組織に含まれる幹細胞に焦点をあてて研究を進めています。具体的には、加齢に伴う脂肪幹細胞の遺伝子発現の変化、エネルギー代謝調節に関わる褐色脂肪細胞を誘導する能力、また若い良質な幹細胞を移植することより肥満、脂肪肝の病態が改善できるか検討しております。

2:皮下脂肪中の幹細胞の形質変化


3:NAFLD症例での皮下脂肪褐色化能の評価と病態との関連

3)ゲノム編集培養肝細胞を用いたNASH病態の解明


1:ヒトiPS細胞のゲノム編集による疾患感受性遺伝子をもった肝細胞の作出と解析

様々な病気の発症には、環境因子に加えて、ヒトがもともともっている遺伝的な体質も一部関与しております。脂肪肝(NASH)の領域でも、発症しやすい遺伝子のパターンが報告されるようになり、そのような体質をもつ患者様へ新しい治療が提供できるよう、遺伝子型の異なる肝細胞を作出し、細胞培養のレベルでそれぞれの細胞機能を比較解析することにより、NASHの原因解明や治療法の探索につなげられるよう検討しております。

お問い合わせ
〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465番地 京都府立医科大学消化器内科
TEL:075-251-5519(医局)FAX:075-251-0710(医局)消化器内科医局 mail: s-ikyoku@koto.kpu-m.ac.jp